研究者支援
研究者支援における当事務所の強み
1.研究者としての知見や解決方法の提案
当事務所は、私自身が研究者として勤務する現役の弁護士であり、産学共同研究や研究者特有の法的問題を深く理解しています。大学の研究者が直面する特許問題や共同研究契約に関連する課題は、単なる法的知識だけでは解決できないことが多く、研究現場での経験が求められます。
当事務所の強みは、私自身が研究者としての背景を持つことにより、研究者の立場に立った解決策を提案できることです。特に、私が会社法の研究者であることから、企業との共同研究における契約上の問題や、研究成果の実用化に向けたサポートにおいては、法的な側面だけでなく、研究者としての視点からも具体的な助言を行うことが可能です。
2.具体的な問題背景の理解
産学共同研究では、特許の帰属やライセンス契約において、研究者が不利な立場に置かれるケースが少なくありません。たとえば、研究者が発明者でありながら特許権者になれない場合や、研究者の意向が反映されない契約が結ばれるケースが見受けられます。
このような問題に対し、当事務所では、研究者の権利を守るための契約見直しや、大学や企業との交渉支援を行います。研究者が自由に研究を継続できる環境を提供するために、特許の管理や権利帰属に関する適切な法的アドバイスを提供します。
研究者支援における具体的なサポート内容
1:共同研究契約の見直し・交渉支援
企業との共同研究における契約が不利な条件で締結されることを防ぐため、契約内容の見直しや交渉を支援します。特に特許権の帰属やライセンスの取り扱いにおいて、研究者の権利が守られるような契約条件を提案します。
研究者の立場から、特許をめぐる法律紛争、特に訴訟や仮処分にも実績があります。
2:特許・知的財産に関するアドバイス
発明者である研究者が特許権を得られない場合や、研究成果を実用化する際に障害となる知的財産の問題に対し、適切なアドバイスを行います。特許法や著作権法に精通した当事務所が、特許の使用許諾やライセンス契約の最適な解決策を提案します。
3:研究継続のための法的サポート
共同研究における発明が、研究者個人の移籍後にも活用できるよう、研究継続の権利を保護する契約の構築をサポートします。これにより、研究者が自由に研究を続けられる環境を確保します。
4:研究者の権利保護のための契約策定
大学や企業との共同研究において、研究者が不当な契約を強いられないよう、透明性のある契約を締結できるように努力します。特に、研究者の権利帰属、利益分配や報酬に関する公正な取り決めを確保します。ただし、大学の職務規程にご留意ください。
特報5:研究者の転退職時の知財取扱に関する指針が公表されました
2025年3月29日、内閣府は「大学等研究者の転退職時の知的財産取扱いに関する指針」を公表しました。 本指針は、研究者が転職・退職後も自身の研究成果を活用し、研究を継続できるようにするための全国共通のルールを初めて明示したもので、研究者の「学問の自由」と「知財の社会実装」の両立を意識した画期的な内容です(本指針に関する代表弁護士のコメントもご覧ください)。
指針が示す「5つの類型」とは?
研究者が大学や研究機関を転職・退職(転退職)する際、発明や知的財産の取扱いについて、以下のような柔軟な5つの選択肢があるとされています。
①【転職後の大学・機関への権利譲渡】
- 研究者の転籍先の大学等に対して、転職前の大学等が知的財産権を譲渡するもの。
- 転職後の研究継続や実用化がスムーズに行える。
②【転職前の大学・機関による権利維持】
- 転職前の大学等が知的財産権を維持しつつ、転職後の研究者やその所属機関に対して実施許諾を行う形。
- 移管しないが、使用可能にする中間的措置。
③【両大学・機関での権利共有】
- 転職前・転職後の双方の機関が権利を共有(持分)することにより、両者で協力的な研究や実用化が可能になる。
- 海外でよく採用される形式(IIA等)。
④【大学・機関による権利放棄】
- 転職前の大学等が、当該知財に対する権利を放棄し、自由な活用を妨げない選択。
- その後、研究者本人や転籍先が希望すれば、譲渡される可能性もある。
⑤【研究者本人への権利返還】
- 転職前の大学等が、知的財産権を研究者個人に返還(譲渡)するもの。
- 研究者の申請・希望に基づき、研究の継続性と研究者の自律性を最も強く支援する選択肢とされる。
これらの類型は、あくまで「指針」であり、各大学・機関の裁量に委ねられているため、実際の運用には濃淡が生じる可能性があります。したがって、研究者自身がどの類型が適切かを理解し、転籍前に交渉・相談できる環境づくりが極めて重要です。
当事務所では、指針に基づいた知財の権利確保や移籍後の研究継続に関する契約支援、法的交渉、相談対応を行っております。研究者の皆様が、安心して自由に研究を継続できる環境づくりを、法的側面から全力でサポートいたします。
研究者支援における主な実績
実績1:特許権帰属に関する交渉支援
企業との共同研究において、発明者である研究者が特許権を取得できないというケースが発生しました。当事務所は、特許権の帰属に関する交渉を全面的にサポートしましたが、交渉の末に合意には至りませんでした。そのため、最終的には裁判を通じて、特許における発明者の権利を争い、解決に至りました。(参考文献:「搾取される研究者たち」)
実績2:研究成果の実用化に向けたサポート
大学と企業との共同研究において、企業が特許を独占することにより、研究成果の実用化が遅れていたケースがありました。当事務所は、この問題を解決するため、早期の実用化に向けたライセンス契約の再交渉を支援しました。その結果、研究の進展が加速し、権利の実用化が順調に進み、研究者が目指していた成果が活用されることになりました。
実績3:研究継続に向けた法的サポート
研究者が他大学に移籍する際、移籍前の大学の職務発明規定に基づき、その研究者の発明が前任校に帰属して、研究継続が不可能という問題が発生しました。前任校がその権利を主張する中、当事務所は、研究者が移籍後も自由に研究を継続できるようにするため、企業と前任校との間で特許権の取り扱いや研究継続の権利について合意を得る契約を構築しました。
これにより、研究者は移籍後もスムーズに研究を進めることができ、キャリアを守ることができました。
実績4:アカデミック・ハラスメントや任期付雇用に関する相談対応
大学内でのアカデミック・ハラスメントや任期付雇用に関する問題についても、当事務所は相談を受け付けています。特に、研究者が適切な労働環境で研究に専念できるよう支援します。ただし、全ての事例で正規雇用に移行することが保証されるわけではないため、この点についてはご理解いただければ幸いです。
研究者支援におけるご契約の流れ
1:面談のご予約
お問い合わせフォーム、またはお電話にて法律相談のご予約をお願いいたします。
2:面談
ご相談者様と直接またはWEBにより、面談を実施し、相談者のご事情をお伺いし、当事務所で行える施策についてご提案いたします。全国の大学等から、ご相談は随時あります。
その際、費用についてもご案内いたします。
(院生の方は、社会貢献の観点から相談料等を50%以上値引きいたします)
面談後、問題がなければ契約書を作成し、委任契約を取り交わします。
3:契約内容に応じて法的支援を実施
取り交わした契約内容に応じて、法的支援を実施いたします。
4:解決
問題解決後、費用を精算いただき、お貸しいただいた資料等を返却し、終了となります。
(院生の方は50%、助教の方は20%程度弁護士費用を値引きいたします)
研究者支援における弁護士費用
法律相談料 |
1時間11,000円(税込) ※その後、30分ごとに5,500円(税込) 院生・助教の方割引あり。 |
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法律関係・事実関係調査、着手前調査、相手方との交渉 |
基本額:55,000円〜220,000円 ※複雑・特殊な場合は協議により決定いたします。 訴訟等は弁護士費用の頁に準拠いたします |
※大学での相談について、院生・助教等の方は割引いたします。但し通常の事件の相談は、弁護士費用と同じ基準とします。